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自衛官の階級一覧|昇進スピードや階級別の給料・階級を上げるためのポイントを解説

自衛官は陸上や海上、航空の3種類に分かれ、それぞれの防衛活動を行っています。防衛活動を行うためにはそれぞれの役割にあった業務を遂行する必要があり、役割を区分するために「階級章」が設けられています。

自衛官の階級章は他の公安職(警察官や消防官)と比較しても種類が豊富にあるのが特徴です。これから自衛官を目指す方は階級の種類を理解し、興味のある業務に就くためにどの階級を目指すべきかを考えておきましょう。

今回は、自衛官の階級一覧や昇進のスピード、階級を上げるためのポイントなどを解説します。

階級について知ることで、自衛官の全体像を把握しやすくなるでしょう!

目次

自衛官の階級制度の仕組みと役割

自衛官の階級制度は、組織の上下関係や指揮系統の役割を明確にするために設けられています。自衛官に限らず、組織として活動する警察官や消防官などにも階級が存在します。

自衛官の階級に関しては、自衛隊法第三十二条で以下のように規定されています。

(自衛官の階級)
第三十二条 陸上自衛隊の自衛官の階級は、陸将、陸将補、一等陸佐、二等陸佐、三等陸佐、一等陸尉、二等陸尉、三等陸尉、准陸尉、陸曹長、一等陸曹、二等陸曹、三等陸曹、陸士長、一等陸士及び二等陸士とする。

 海上自衛隊の自衛官の階級は、海将、海将補、一等海佐、二等海佐、三等海佐、一等海尉、二等海尉、三等海尉、准海尉、海曹長、一等海曹、二等海曹、三等海曹、海士長、一等海士及び二等海士とする。

 航空自衛隊の自衛官の階級は、空将、空将補、一等空佐、二等空佐、三等空佐、一等空尉、二等空尉、三等空尉、准空尉、空曹長、一等空曹、二等空曹、三等空曹、空士長、一等空士及び二等空士とする。
引用:自衛隊法 | e-Gov 法令検索

また、自衛官の階級を上げるためには、昇任試験を受ける必要があります。昇任試験では、自衛官としての能力や適性を判断され、合格すれば1つ上の階級に昇進可能です。

自衛官の階級の仕組みや概要を把握しておきましょう!

自衛官の階級一覧表

まずは、自衛官の階級にはどんなものがあるのかを理解しておくことが大切です。自衛官の階級は、全部で17種類に分かれています。

自衛官の階級や階級章に関しては、以下の表を参考にしてください。

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共通呼称陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊
幹部将官
陸上幕僚長

海上幕僚長

航空幕僚長

陸将

海将

空将
将補
陸将補

海将補

空将補
佐官1佐
1等陸佐

1等海佐

1等空佐
2佐
2等陸佐

2等海佐

2等空佐
3佐
3等陸佐

3等海佐

3等空佐
尉官1尉
1等陸尉

1等海尉

1等空尉
2尉
2等陸尉

2等海尉

2等空尉
3尉
3等陸尉

3等海尉

3等空尉
准尉准尉
准陸尉

准海尉

准空尉
曹士曹長
陸曹長

海曹長

空曹長
1曹
1等陸曹

1等海曹

1等空曹
2曹
2等陸曹

2等海曹

2等空曹
3曹
3等陸曹

3等海曹

3等空曹
士長
陸士長

海士長

空士長
1士
1等陸士

1等海士

1等空士
2士
2等陸士

2等海士

2等空士
引用:防衛省・自衛隊:自衛官の階級

警察官や消防官の階級は8〜10個程度なのに対し、自衛官の階級は合計17個にも分かれています。陸上自衛隊や海上自衛隊、航空自衛隊でそれぞれの階級が異なるため、自衛官という括りで考えると階級の種類が非常に多いのが特徴です。

階級章や名前だけでなく、それぞれの役割についても理解しておきましょう!

階級章以外の章

上記で紹介したのが、自衛官としての地位(指揮系統や役割)を示すための階級章です。しかし、地位を示すための階級章以外にも様々な章が存在します。

具体的な章の種類としては、以下の表を参考にしてください。

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名称画像例目的装着部位
防衛記念章自衛官の職務遂行や災害派遣などの功績・経歴の記念を表す制服の左胸ポケット上部
職種き章陸上自衛官の職種を表す制服の襟
各種き章等課程教育修了者の特技や候補者の地位や職務を表す制服の胸
参考:自衛官の階級章等について

自衛官のき章には、過去の功績を示すものや課程教育を修了したことを示すものなど様々あります。階級章以外にたくさんのき章が付いていることを不思議に感じていた方は、どんなものがあるのかを確認しておきましょう。

「き章」と「階級章」は別の目的で使用されていることを理解しておきましょう!

自衛官の階級別の特徴

自衛官の階級は、単なる区分分けのためだけにあるわけではありません。役割や給料も異なっているため、事前に理解しておくことが大切です。

自衛官の階級別の特徴については、以下の点を理解しておきましょう。

自衛官の階級別の特徴
  • 定年年齢
  • 人数
  • 役割
  • 給料
  • 民間企業や行政職との比較

それぞれの違いを理解することで、階級の全体像をより細かく把握できるでしょう。

特に役割や給料などは事前に知っておいて損はありません!

定年年齢

自衛官は、階級によっても定年年齢が異なります。階級別の定年年齢は、以下の表を参考にしてください。

呼称定年年齢
60歳
将補60歳
1佐56歳
2佐55歳
3佐55歳
1尉54歳
2尉54歳
3尉54歳
准尉54歳
曹長54歳
1曹54歳
2曹53歳
3曹53歳
士長53歳
1士陸上自衛官は1年9か月(一部技術系は2年9か月)
海上・航空自衛官は2年9か月を1任期(2任期目以降は各2年)
2士
参考:数字で見る防衛省自衛隊

定年年齢は入隊してすぐの方にはあまり関係ないかもしれません。ただ、自衛官としてキャリアを重ねたい方は事前に各階級の定年年齢を理解しておきましょう。

人数

自衛官の階級別の人数は、以下の表を参考にしてください。

呼称人数
62人
将補207人
1佐2,162人
2佐4,851人
3佐10,501人
1尉13.981人
2尉8,382人
3尉5,547人
准尉4,930人
曹長19,576人
1曹26,968人
2曹44,679人
3曹48,387人
士長32,573人
1士24,348人
2士
参考:数字で見る防衛省自衛隊

上記の人数は、陸海空自衛官のそれぞれの人数を合計したものです。単純に3つを分ければ良いわけではないですが、それぞれの人数は上記の3分の1程度だと理解しておきましょう。

役割

自衛官の役割は、階級によっても異なります。大きく分けると「士」「曹」「幹部」に分かれており、具体的な役割は以下の通りです。

階級主な役割
階級の中で最も下であり、実務の実行を担う
部隊の中核を担い、士の指導や現場の長として活動する
幹部部隊全体の指揮や計画立案を行う

基本的に、高い階級ほど戦略立案を含めた責任のある業務を担います。階級が低いほど、実務や現場での活動がメインとなることを理解しておきましょう。

給料

自衛官の給料は、階級ごとに俸給表が規定されています。各階級の1号の場合、給与額が以下のように定められています。

階級区分俸給月額
陸将・海将・空将716,000(円)
陸将補・海将補・空将補(一)716,000(円)
(二)586,600(円)
1等陸佐・1等海佐・1等空佐(一)546,700(円)
(二)512,300(円)
(三)436,200(円)
2等陸佐・2等海佐・2等空佐385,400(円)
3等陸佐・3等海佐・3等空佐360,900(円)
1等陸尉・1等海尉・1等空尉321,300(円)
2等陸尉・2等海尉・2等空尉298,900(円)
3等陸尉・3等海尉・3等空尉293,300(円)
准陸尉・准海尉・准空尉287,700(円)
陸曹長・海曹長・空曹長280,600(円)
1等陸曹・1等海曹・1等空曹280,500(円)
2等陸曹・2等海曹・2等空曹271,300(円)
3等陸曹・3等海曹・3等空曹253,000(円)
陸士長・海士長・空士長235,300(円)
1等陸士・1等海士・1等空士235,100(円)
2等陸士・2等海士・2等空士224,600(円)
参考:防衛省の職員の給与等に関する法律 | e-Gov 法令検索

上記は、諸手当を引いた基本給となります。諸手当を含めれば、さらに多くの給与を受け取れるでしょう。また、号級を上げることで同じ階級でも基本給が高まることを理解しておきましょう。

号級は役職や勤務年数によって変化します!

民間企業や行政職との比較

自衛官に階級があるように、民間企業や行政職も役職に分かれています。階級で見るとわかりづらいですが、一般的な役職と比較すればイメージを持ちやすくなるでしょう。

自衛官の階級と民間企業や行政職との比較は、以下の表を参考にしてください。

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自衛官の階級民間企業・行政職の役職イメージ備考
統合幕僚長/幕僚長代表取締役社長自衛隊全体・各自衛隊(陸・海・空)の最高責任者
陸将・海将・空将取締役/本部長クラス隊全体の作戦や戦略を統括
将補部長大規模な部隊や部署の責任者
1等陸佐・1等海佐・1等空佐課長中隊・中隊群を指揮、部隊の管理・運用を担当
2等陸佐・2等海佐・2等空佐次長・課長代理部隊の副指揮官的立場、指揮官を支援
3等陸佐・3等海佐・3等空佐主任・チームリーダー分隊や小規模部隊の指導、部下の管理
1等陸尉・1等海尉・1等空尉一般社員(中堅クラス)分隊や班の運用を担当、OJT指導役
2等陸尉・2等海尉・2等空尉一般社員(若手~中堅)班の運用に従事、実務にあたる
3等陸尉・3等海尉・3等空尉新入社員~若手社員配属直後の幹部候補生。実務や訓練を学ぶ
陸曹長・海曹長・空曹長ベテラン社員/係長非幹部ながら現場のベテラン、実務と指導を兼務
1等陸曹・1等海曹・1等空曹主任クラス現場の中心として指導と実務を担当
2等陸曹・2等海曹・2等空曹中堅社員実務担当の中堅層、OJT指導補佐
3等陸曹・3等海曹・3等空曹若手社員一通りの業務をこなすようになった段階
陸士長・海士長・空士長新入社員~新人社員教育終了後の配属初期段階
1等陸(海・空)士~2等陸(海・空)士研修生/インターン教育中の段階、実務経験はほとんどなし
参考:防衛省・自衛隊:自衛官の階級

上記の表は、必ずしも当てはまるわけではありません。あくまでイメージとしての役職や役割の違いとなるため、ざっくりと把握しておきましょう、

「曹長」を境に、幹部か非幹部かで区別しています!

自衛官の階級が上がる仕組みと昇進スピード

自衛官の階級を上げるためには、昇任試験に合格する必要があります。昇任試験とは、現在の階級より高い階級に昇任するための試験であり、士や曹、幹部といった役職ごとに、必要な知識、能力、適性などを測るのが特徴です。

まず、士から曹に上がるために、一般候補生制度を活用しましょう。一般曹候補生として採用され約2年9ヶ月経過すると、曹への昇進が可能となります。
参考:一般曹候補生|自衛官募集サイト

幹部を目指すなら、幹部候補生試験に合格しなければいけません。試験合格後は、一定の教育訓練を受けた後に3尉に昇進可能です。
参考:自衛隊幹部候補生|自衛官募集サイト

自衛官の全体の8割は曹と士のため、幹部以上を目指すのは非常に難しいです!

自衛官として階級を上げるポイント4選

自衛官として階級を上げるポイントは、以下の4つです。

自衛官として階級を上げるポイント
  • 普段から好成績を残す
  • 学校教育制度を利用する
  • 幅広い知識を付ける
  • 同僚や上司と良好な関係を築く

自衛官として成長するためには、階級を上げるポイントを理解しておくことが大切です。ポイントを理解しておくことで昇任試験の合格率を高めることができ、希望の階級に早く上がりやすくなるでしょう。

希望の階級に上がれば希望の業務にも付きやすくなります!

普段から好成績を残す

自衛官の階級を上げるためには、普段から好成績を残す必要があります。好成績を残すためには、体力や筋力が必要です。

なぜなら、昇任試験では体力測定が行われるだけでなく、自衛官として業務を進める上で最も重要になるものだからです。

また、昇進すればするほど肉体的な強さだけでなく、精神的な強さも求められるでしょう。

精神的な強さを得るには、肉体的な強さも必要となります!

学校教育制度を利用する

学校教育制度を利用することも、自衛官として階級を上げるポイントです。自衛官としての専門的な能力や知識をつけるためには、専門的な教育を受ける必要があります。

自衛官の学校教育制度とは、自衛官の養成や能力向上、そして専門知識習得を目的とした様々な教育機関や研修制度のことです。具体的には「防衛大学校」や「防衛医科大学校」などが挙げられます。
参考:防衛大学校の在り方に関する質問主意書

自衛官としての専門性を高めることで階級を上げやすくなるだけでなく、自衛官としての価値も高められるでしょう。

自衛官の活動に役立つ資格を取得するのもおすすめです!

幅広い知識を付ける

幅広い知識をつけることも、自衛官として階級を上げるポイントです。自衛官として成長するためには、自分の専門分野だけを磨けば良いだけではありません。

様々な場面で幅広い知識が役に立つことも多く、自分の総合力を高めることにも繋がります。また、幅広い分野に興味を持つ好奇心や勉強に取り組む姿勢が評価されて昇進に繋がる可能性も高いです。

業務に関係ない知識でも好奇心を持って学ぶ姿勢で生活しましょう!

同僚や上司と良好な関係を築く

同僚や上司と良好な関係を築くことも、自衛官として階級を上げるポイントです。自衛官として評価されるためには、自分だけのスキルがあれば良いというわけではありません。

チームで業務を進める自衛官にはコミュニケーション能力や協調性が必要であり、上の階級を目指すならリーダーシップも必要となります。

そのためには、同僚や上司と良好な関係を築いて評価されることが大切です。

チームで仕事をするということを常に理解しておきましょう!

自衛官の階級に関するよくある質問

自衛官の階級に関するよくある質問をまとめたので、参考にしてみてください。

自衛官の最高階級は何ですか?

自衛官の最高階級は「統合幕僚長」です。「陸上幕僚長」「海上幕僚長」「航空幕僚長」よりも上の陸海空自衛隊の最高階級となります。

大卒と高卒で昇進スピードは変わりますか?

自衛官の昇進スピードは、高卒と大卒で若干異なります。一般曹候補生として入隊した場合、高卒は2年9ヶ月後に3曹に昇進し、大卒は3曹昇任後1年で幹部候補生への受験資格が得られます。高卒の場合、3曹昇任後4年で幹部候補生への受験資格が得られます。

階級によって給料は変わりますか?

階級によって給料は大きく異なります。令和5年度の場合、2等陸士(18歳)の年収は約309万円なのに対し、3等陸曹(25歳)は約502万円となっています。

参考:給与・退職金+退職給付金|自衛隊静岡地方協力本部

自衛官としてのキャリアを積むなら階級を上げるのがおすすめ

自衛官として成長したいなら、階級を上げるのが1番の近道です。階級が上がれば、興味のある業務や責任のある業務に携わることができ、自分自身の成長にも繋がります。

階級を上げようと考えている方は、今回紹介した階級の概要や階級別の特徴、階級を上げる方法を理解しておくことが大切です。

自衛官としてのキャリアを積むなら階級を上げることを考えましょう!

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