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予備自衛官とは?制度の種類や予備自衛官になる方法について解説

自衛官と似ている言葉として「予備自衛官」があります。「予備って付いてるから正規自衛官の予備として活動するの?」と思うかもしれません。

大まかにはその通りですが、細かく考えると様々な面で自衛官とは異なる部分があります。

今回は、予備自衛官の概要や種類、どうすればなれるのかなどを解説します。この記事を参考にすることで、予備自衛官について網羅できるでしょう。

予備自衛官について理解すれば、自衛官との明確な違いも理解できるでしょう!

目次

予備自衛官とは?

予備自衛官とは、普段は社会人や学生としての生活を送りながら、有事の際に自衛官として活動する特別職国家公務員です。自衛官としての経験がない方でも、段階を踏むことで予備自衛官として活動できます。

防衛省の調査によると、令和5年3月31日時点での予備自衛官の数は「47,900人」となっています。自衛官や予備自衛官の人数は、以下を参考にしてください。

引用:予備自衛官等制度(予備自衛官等に必要な経費)-防衛省・自衛隊

また、応募したからと言ってすぐに予備自衛官として働けるわけではありません。試験に合格した上で、一定期間訓練を行う必要があります。普段は社会人や学生としての生活を送りながら活動しなければいけないことを理解しておきましょう。

予備自衛官は5万人近くとかなり多いんです!

予備自衛官の必要性

予備自衛官が必要な理由は、有事の際の防衛力を高めるためです。普段から高い防衛力を維持しようとするのは効率が悪く、費用も多くかかります。そこで普段は最小限の防衛力にしておき、有事の際に予備自衛官を活用することで効率的に防衛力を維持することが可能です。

予備自衛官制度が無ければ、有事の際に対応できなくなり日本が危険にさらされる可能性も高まります。そのため、正規の自衛官でなくても、予備自衛官制度があることで日本の平和が守られていると言えるでしょう。

予備自衛官制度があることで安心して生活できているんです!

実際に予備自衛官が必要になった事例

予備自衛官は制度としてあるだけでなく、実際に予備自衛官が必要になった事例も多いです。

具体的な事例として、以下のようなものが挙げられます。

【東日本大震災における災害派遣活動】

引用:有事・災害などの際、国を支える力になる!「予備自衛官等制度」 | 政府広報オンライン

【新型コロナウイルス感染拡大防止のための災害派遣における予備自衛官の活動】

引用:有事・災害などの際、国を支える力になる!「予備自衛官等制度」 | 政府広報オンライン

【令和6年能登半島地震における予備自衛官の活動】

引用:有事・災害などの際、国を支える力になる!「予備自衛官等制度」 | 政府広報オンライン

身近な事例としては、災害派遣が挙げられます。東日本大震災の際には予備自衛官として2,648人が招集され、能登半島地震では約200人の予備自衛官が招集されました。

また、予備自衛官の中には医師や看護師資格を有している方もおり、災害時の医療行為でも活躍されています。

普段は社会人として生活しているからこそ、特別な資格を保有している予備自衛官の方もいます!

予備自衛官がやめとけと言われる理由

予備自衛官は、業務に加えて様々な面でデメリットもあります。それらが理由で、周りから「やめといた方が良い」と言われることもあるでしょう。

予備自衛官がやめとけと言われる理由は、以下の3つです。

予備自衛官がやめとけと言われる理由
  • プライベートとの両立が難しいから
  • 肉体的負担が大きいから
  • 会社にバレる可能性があるから

上記がどれほどのデメリットだと感じるかは人それぞれです。しかし、事前に上記の内容について理解しておくことで、予備自衛官になっても後悔せずに活動できるでしょう。

普段の生活をしながらの活動になるため、様々な面で苦労する可能性があることを理解しておくことが大切です!

プライベートとの両立が難しいから

予備自衛官がやめとけと言われる1つ目の理由は、プライベートとの両立が難しいからです。予備自衛官は、日常生活を送りながら定期的な訓練を行います。

それに加えて、有事の際には招集がかかるため、プライベートの予定をキャンセルしなければいけないこともあります。例えば、冠婚葬祭と招集が被ってしまうと、人生の大切なイベントに参加できないかもしれません。

以上のように、プライベートの予定との両立が難しくなることが、予備自衛官はやめとけと言われる要因となっています。

両立が難しいことを理解しておけば、大きなデメリットとはならないでしょう!

肉体的負担が大きいから

予備自衛官がやめとけと言われる2つ目の理由は、肉体的負担が大きいからです。有事の際の災害現場では、肉体的労働が求められます。

また、定期的な訓練でも肉体的な訓練も多くなるため、普段から運動している方でも肉体的負担は大きいです。

社会人として働いている方にとっては、休日の肉体的負担が大きいことが理由でやめとけと言われる要因となっていると考えられます。

普段から運動していなければ、いざという時に活躍できないことも理解しておきましょう!

会社にバレる可能性があるから

予備自衛官がやめとけと言われる3つ目の理由は、会社にバレる可能性があるからです。予備自衛官は基本的に、訓練や招集に参加する義務があります。

招集は有事の際のみですが、訓練は定期的に行われており会社を休まなければいけません。そのため、会社と協力して予備自衛官としての活動を進める必要があります。

ただ、会社としても予備自衛官を採用することで、以下のような給付金を受け取ることが可能です。

会社が予備自衛官を採用することで受け取れる給付金
  • 雇用企業協力確保給付金
  • 即応予備自衛官雇用企業給付金
  • 即応予備自衛官育成協力企業給付金

参考:有事・災害などの際、国を支える力になる!「予備自衛官等制度」 | 政府広報オンライン

会社にとっても予備自衛官の採用はメリットとなるため、事前に会社に共有しておくことをおすすめします。

会社にバレることを理由に予備自衛官を目指さなくなるのはもったいないです!

予備自衛官制度の種類

予備自衛官制度では、役割や応招義務などに応じて3つの種類に分けられています。

具体的な内容に関しては、以下の表を参考にしてください。

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区分即応予備自衛官予備自衛官予備自衛官補
役割第一線部隊の一員として、現職自衛官と共に任務につきます。第一線部隊が出動した際の駐屯地の警備や、通訳・補給などの後方支援の任務等につきます。予備自衛官補の期間は、教育訓練のみを行い、教育訓練修了後に予備自衛官として任用します。
応招義務防衛招集
国民保護等招集
治安招集
災害等招集
訓練招集
防衛招集
国民保護等招集
災害招集
訓練招集
教育訓練招集
訓練
(教育訓練)
1年を通じて30日の訓練に従事1年を通じて5日間の訓練に従事(方面総監が必要と認めるときは合計して年間20日を超えない範囲で特別な招集訓練に参加可能)一般は3年以内に50日技能は2年以内に10日
採用対象者元自衛官(1年以上勤務者で退職後1年未満のもの)予備自衛官(一般公募予備自衛官に任用された者を含む。)元自衛官(1年以上勤務者)予備自衛官補(教育訓練修了者)自衛官未経験者(一般国民)
処遇
 (手当は課税対象になります。)
・即応予備自衛官手当
16,000円 / 月
・訓練招集手当
14,200円~10,400円 / 日
・勤続報奨金
120,000円 / 1任期(3年)
・雇用企業給付金
42,500円 / 月(1人あたり)
予備自衛官手当
4,000円 / 月訓練招集手当
8,100円 / 日(一般公募予備自衛官から即応予備自衛官任用への訓練招集手当は8,300円 / 日)
教育訓練招集手当8,800円
/ 日
引用:予備自衛官制度の概要

予備自衛官の中でも3種類に分かれているため、自分が目指すべき役割は何なのかを明確に理解しておくことが大切です。

種類別の特徴を知っておくことで、自分がどの予備自衛官を目指すべきかも検討できます!

即応予備自衛官

即応予備自衛官は、防衛招集に加え、治安維持や災害等招集なども応招義務があります。現役自衛官と一緒に最前線で活動するのが特徴であり、訓練期間も年間30日とかなり多いです。

即応予備自衛官になるためには、自衛官として1年以上勤務し退職後1年未満であるか、予備自衛官でなければいけません。自衛官未経験者からは即応予備自衛官になれないため、予備自衛官の中で最も難しいです。

難しいからこそ、最前線で活躍出来たり手当も多く貰えたりします!

予備自衛官

予備自衛官は、予備自衛官制度の真ん中に位置する役割となっています。現場では、即応予備自衛官のように最前線に出ることはなく、警備や補給などの後方支援がメインです。

また、治安招集が対象となることはなく、防衛招集や災害招集が対象となります。訓練期間も「年間5日間」と、即応予備自衛官と比較しても少ないです。

予備自衛官になるには、元自衛官として1年以上勤務しているか、予備自衛官補になる必要があります。予備自衛官補は防衛招集や災害招集などの対象ではないため、予備自衛官制度を利用する人の多くが、予備自衛官を目指す場合が多いです。

予備自衛官よりもっと活動したいと思ったら即応予備自衛官を目指すのがおすすめです!

予備自衛官補

予備自衛官補は、予備自衛官になるための教育訓練を行う役割があります。予備自衛官補は、防衛や災害で招集されることはありません。

また、駐屯地の警備要員や補給などの後方支援等の任務にあたる予備自衛官になる「一般コース」と医療従事者、語学要員等の専門分野における任務にあたる予備自衛官になる「技能コース」に分かれています。

予備自衛官補は自衛官未経験者でもなることができるため、自衛官未経験から予備自衛官や即応予備自衛官を目指す方は全員予備自衛官補になる必要があります。

訓練においても、日当8,800円が支給されます!

予備自衛官の訓練

予備自衛官の訓練は、年間5日間行わなければいけません。それもバラバラではなく、基本的には5日間連続での訓練となります。

また、自衛官経験者で予備自衛官として活動する方に対しては、1日間の訓練が実施されています。

予備自衛官の訓練の詳細に関しては、以下を参考にしてください。

引用:予備自衛官の訓練

勤務先の会社の状況によって訓練の都合が付かない場合には、2回に分割して出頭できます。また、訓練は土日を挟んで実施されるため、会社員の方でも都合を付けやすいでしょう。

可能な限り5日連続で出頭したほうが訓練が身に付きやすいのでおすすめです!

予備自衛官補の応募資格

自衛官未経験の方で予備自衛官を目指す方は、予備自衛官補にならなければいけません。

予備自衛官補の応募資格は、以下の表を参考にしてください。

区分一般技能
年齢18歳以上52歳未満18歳以上で、保有する技能に応じ53~55歳未満
参考:陸上自衛隊:予備自衛官補の応募資格等
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項目技能資格
医療従事者医師、歯科医師、薬剤師、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、 診療放射線技師、臨床検査技師、看護師、 救急救命士、栄養士、准看護師、歯科技工士
語学英語、ロシア語、朝鮮語、中国語、アラビア語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語
システム防護
(サイバー)
CISSP、SSCP、情報処理安全確保支援士、第1種工事担当者等
情報処理システムアナリスト、 プロジェクトマネージャ、 アプリケーションエンジニア、プロダクションエンジニア、 第1種情報処理技術者、 ソフトウェア開発技術者、 ネットワークスペシャリスト、 データベーススペシャリスト、 システム運用管理エンジニア、 テクニカルエンジニア(ネットワーク、データベース、システム管理、情報セキュリティ、エンベットシステム)、 上級システムアドミニストレータ、 情報セキュリティアドミニストレータ、 第2種情報処理技術者、 基本情報技術者、 システム監査技術者、 応用情報技術者、 ITストラテジスト、 システムアーキテクト、 エンベデットシステムスペシャリスト、 情報セキュリティスペシャリスト、 ITサービスマネージャ
通信第1級総合無線通信士、第2級総合無線通信士、第3級総合無線通信士、 第1級陸上無線技術士、第2級陸上無線技術士、AI第1種工事担任者、 アナログ第1種工事担任者、DD第1種工事担任者、デジタル第1種工事担任者、AI・DD総合種工事担任者、 アナログ・デジタル総合種工事担当者
電気第1種、第2種又は第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者
土木建築1級又は2級建築士、測量士、測量士補、1級又は2級建築機械施工技士、木造建築士、 1級又は2級建築施工管理技士、1級又は2級土木施工管理技士、1級又は2級管工事施工管理技士
整備1級大型又は小型自動車整備士、1級又は2級二輪自動車整備士、2級ガソリン自動車整備士、 2級ジーゼル自動車整備士、2級二輪自動車整備士
放射線管理第1種又は第2種放射線取扱主任者
法務弁護士、司法書士
人事遺体衛生保全士(エンバーマー)、納棺師(士)、保育士
参考:陸上自衛隊:予備自衛官補の応募資格等

一般を受験する方は、年齢制限以外の制限はありません。しかし、技能を受験する方は上記いずれかの資格が必要となるため注意しましょう。

また、採用予定の技能資格は、採用年度によって異なるため公式サイトから確認した上で応募することをおすすめします。

技能試験では、一般のように教養試験はなく小論文試験のみとなります!(面接・適性検査あり)

予備自衛官になる方法

予備自衛官になる手順は、以下の通りです。

予備自衛官になる手順
  • 予備自衛官補として採用される
  • 教育訓練を受ける
  • 予備自衛官として任用される

予備自衛官になるためには、予備自衛官としての採用試験に合格する必要があります。合格した後も、指定の訓練を受けることで予備自衛官として活躍できるようになります。

どんな試験なのかも事前に確認しておきましょう!

①予備自衛官補として採用される

まずは予備自衛官補から予備自衛官補へ応募しましょう。予備自衛官補の募集は、毎年1月から4月と6月から9月あたりの2回行われます。ただ、第1回で採用予定者数に達した場合、第2回は実施されない恐れがあるため注意が必要です。

参考:予備自衛官補採用要項

予備自衛官補への応募が完了したら、指定の試験を受験しましょう。試験内容は、以下の表を参考にしてください。

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試験内容一般技能
筆記試験国語、数学、地理歴史及び公民、作文小論文
口述試験個別面接別面接
適性検査予備自衛官補としての適性を判定する検査予備自衛官補としての適性を判定する検査
身体検査
合格発表地方協力本部への掲示及び本人宛通知(合格者のみ)地方協力本部への掲示及び本人宛通知(合格者のみ)
参考:予備自衛官補

試験合格後は、教育訓練を受ける必要があります!

②教育訓練を受ける

予備自衛官補として採用された後、一般は3年以内に50日、技能は2年以内に10日の教育訓練を受ける必要があります。

具体的な訓練内容や段階に関しては、以下を参考にしてください。

引用:陸上自衛隊:予備自衛官補の教育訓練
引用:陸上自衛隊:予備自衛官補の教育訓練

教育訓練は全国様々な場所で行われるため、どの地域に居住している方でも問題なく対応できるでしょう。

教育訓練修了者が予備自衛官の採用条件です!

③予備自衛官として任用される

指定の期間教育訓練を受けた後は、予備自衛官として任用されます。予備自衛官になれば、防衛招集を始めとする応招義務が発生するため、様々な場所で活躍できるでしょう。

また、予備自衛官としての活動を進める中でより最前線で活躍したいと思った場合には、即応予備自衛官を目指すのがおすすめです。

まずは予備自衛官になることを目標としましょう!

予備自衛官に関するよくある質問

予備自衛官に関するよくある質問をまとめたので、気になる方は以下を参考にしてみてください。

有事の際でも招集を拒否できますか?

基本的に招集を拒否することはできません。招集を拒否した場合、3年以下の懲役又は禁固処分が下る可能性があるため注意が必要です。

罰 則    防衛招集命令を受けた予備自衛官で、正当な理由がなくて指定された日から3日を過ぎてなお指定された場所に出頭しない場合は、3年以下の懲役又は禁固に処する。
引用:予備自衛官ハンドブック
仕事をしながらでもできますか?

予備自衛官は、普段は会社員や学生として生活している方の集まりです。そのため、会社員として仕事をしながらでも問題なく続けられます。

予備自衛官の種類ではどれがおすすめですか?

災害などで応招義務があるのは「即応予備自衛官」と「予備自衛官」です。より多くの現場で活躍したいなら「即応予備自衛官」がおすすめですが、まずは「予備自衛官」を目指しましょう。

より細かい内容を知りたい方は、防衛省の「予備自衛官制度の概要を参考にしてください!

予備自衛官を目指すなら志が重要

予備自衛官は、有事の際に国を守る非常に重要な制度です。予備自衛官になることで、自分が国や人の助けになっていることを実感できるでしょう。

予備自衛官になるには訓練を受けなければいけなかったり、プライベートとの両立が大変だったりもしますが、やりがいも感じやすいはずです。高い志を持つことで、予備自衛官になってからも活躍できるでしょう。

予備自衛官を目指す方は、志の高い方も多いです!

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